HOME > 健康情報 > 日帰り大腸ポリープ切除術について
“大腸ポリープ”というと「ワアーッ、えらい病気になってしもうた」という方や、逆に「なんや、毎年とっている人もまわりにいる。イボみたいなもんとちがうん?」という方もおられます。私の見解は「心配のいらないものがほとんどですが、あなどってはいけません。」です。かなり漠然とした表現になってしまいました。以下に、大腸内視鏡検査、大腸ポリープ、当院で行っている日帰り大腸ポリープ切除術について説明します。
大腸は右の図のように、直腸から盲腸まであり、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)では、肛門からカメラを挿入し、この大腸全体を観察します。
当然、大腸を空の状態にしておく必要があり、検査の前日は検査食にしていただき、当日に下剤を1リットル~1.5リットル飲んでいただく必要があります。バリウムの注腸検査と違い、直接大腸を観察できるので、炎症やポリープ、癌の有無など、詳細な情報が得られ、病変の一部の組織を採ったり、ポリープそのものを切除したりすることが可能です。
検査時間は通常10-20分程度です。当院では、右の硬度可変式スコープを使用し、より苦痛の少ない大腸内視鏡検査を心掛けております。
大腸カメラ(硬度可変式)
大腸ポリープとは、大腸の粘膜からとびでているものの総称で、大きく腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。非腫瘍性ポリープには、腸炎などの炎症のあとにできる、炎症性ポリープや、一種の老化現象ともいえる過形成性ポリープなどがあります。これらのポリープは癌になることはまずありません。腫瘍性ポリープは、良性の場合、大半が腺腫と呼ばれるものであり、悪性の場合、大半が癌ということになります。腺腫は、将来癌になる可能性があり、ある大きさ以上になったり、形がいびつになったりなどすると、内視鏡で切除します。また、ポリープの形で診断される癌の場合、ほとんどが早期癌ということになります。したがってポリープを内視鏡で切除する場合、ほとんどがこの腺腫や、早期の癌を対象にすることになります。
通常の大腸内視鏡検査で大腸ポリープを認めた場合、あらかじめ同意されていた方は、その場で以下のようにポリープ切除術を行います。スネアというワイヤでしばって通電するのですが、痛みはありません。通常5-10分程度で終わります。大きいポリープや、リスクが高いと判断した場合は、入院が必要になりますので、後日連携病院を紹介します。
ポリープを切除した後は、回復室で休んでいただいた後、問題なければ帰宅していただきます。ただし、頻度は少ないですが、出血や穿孔といった合併症もあるため、約1週間は以下のことに注意していただきます。
冒頭に話を戻しますが、大腸ポリープについて、“心配のいらないものがほとんどです。”と申し上げたのは、ポリープが見つかっても、ほとんどが内視鏡で取ってしまえば大丈夫なものか、放置できるものです。という意味です。“あなどれない”というのは、頻度は少ないのですが、ポリープとして見つかったものでも稀にある程度進行した癌であることがあり、手術などが必要になることもあるという意味です。
日本での大腸癌の死亡者数は男女とも年々増加しており、2006年の部位別統計では、男女あわせて3位、女性では1位となっています。大腸癌は早い段階で見つかれば、内視鏡的に切除するか、外科的に切除するかで完全に治せる癌です。便が出にくい、細いなどの症状のある方や、検便で潜血陽性といわれた方はもちろん、50歳以上になられた方や、血縁家族に癌のある方はぜひ大腸内視鏡検査を受けることを勧めます。
児島医院 内科・胃腸科・小児科
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